ト イ レ の 話




 みなさん、右の写真のものはなんだかわかりますか。便器に似ていますが便器ではありません。日本でも同じようなものはありますが、スリランカのものは少し違っています。これは、トイレ(うんち)のあとにおしりを洗う器具です。日本のおしり洗浄器は便器といっしょになっていて、ボタンを押すと下から水やお湯が出てきます。しかし、スリランカのおしり洗浄器は便器のとなりに取り付けてあって、ボタンではなく、蛇口をひねると水が出てきます。下の写真のように、便器のわきにシャワーのようなものが取り付けてある場合もあります。日本でもおしり洗浄器を使っている人はいますが、どの家にもあるわけではありません。しかし、スリランカの洋風の家では、かならずこのような器具が取り付けてあります。それでは、スリランカの家には、なぜこのような器具が取り付けてあるのでしょうか。

  

 スリランカではトイレのあとにかならずおしりを洗う習慣があります。紙を使わずに水でおしりを洗い流すのです。スリランカの人たちは、昔からトイレのあとはおしりを水で洗い流すということをしてきました。ですからトイレのわきには、かならずおしりを洗う器具が取り付けてあるのです。

 しかし、上の写真のような器具はどの家にもあるわけではありません。こういう器具があるのは、洋式のトイレを使っているお金持ちの家だけです。それでは、一般の人々はどうしているのでしょうか。一般の家庭では、トイレに行くときは、コップのような入れ物に水をくんでいきます。用を足したあと、くんできた水をおしりにかけ、左手で洗います。このとき、右手は使いません。スリランカでは、ご飯を食べるときに、はしを使わずに右手で食べます。ですから、おしりを洗うときは、ご飯を食べる右手は使わず左手を使うのです。もちろん、おしりを洗ったあとは、左手を石けんできれいに洗います。

 おしりを手で洗うなどと聞くと「汚い」と思う人もいるかもしれません。しかし、これはこの国の習慣ですから、汚いことではありません。スリランカだけでなく、東南アジアの多くの国では、トイレのあとにおしりを洗う習慣があります。考えようによっては、水でおしりを洗うわけですから、紙でふくだけよりもきれいかもしれませんね。


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