停電(パワーカット)の話

 停電(パワーカット)の話は2002年2月22日にアップしました。その後、2002年3月1日より、「昼間の部」が始まりました。青文字で表記してあるのが、3月1日以降に追加したものです。

 
 停電(ていでん)とは、「送電が止まること。また、そのために電気が消えること。」を意味しています。みなさんは、停電を経験したことがありますか? 現在の日本では、よほどのことがない限り、停電を経験することはないでしょうね。
 スリランカでは、停電のことを一般的には「パワーカット」と言っています。発電所からの送電(パワー)が意図的に止められて(カット)しまうのです。現在、スリランカで行われているパワーカットは、新聞等にもあらかじめ時間を予告をした上で、計画的に実施されています。下の表は、ある月のパワーカットのスケジュールです。

<昼間の部>

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日
  開始   終了 開始   終了 開始   終了 開始   終了
 7:30am 10:00am 10:00am 12:30pm 12:30am  3:00pm  3:00pm  5:30pm
2時間30分 2時間30分 2時間30分 2時間30分
授業 1・2校時 3・4校時 5・6校時 委員会・部活動
10:00am 12:30pm 12:30pm  3:00pm  3:00pm  5:30pm  7:30am 10:00am
12:30pm  3:00pm  3:00pm  5:30pm  7:30am 10:00am 10:00am 12:30pm
 3:00pm  5:30pm  7:30am 10:00am 10:00am 12:30pm 12:30pm  3:00pm


<夜間の部>

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日
  開始   終了 開始   終了 開始   終了 開始   終了
 5:30pm  8:00pm  6:30pm  9:00pm  8:00pm 10:30pm  9:00pm 11:00pm
2時間30分 2時間30分 2時間30分 2時間
 6:30pm  9:00pm  8:00pm 10:30pm  9:00pm 11:00pm  5:30pm  8:00pm
 8:00pm 10:30pm  9:00pm 11:00pm  5:30pm  8:00pm  6:30pm  9:00pm
 9:00pm 11:00pm  5:30pm  8:00pm  6:30pm  9:00pm  8:00pm 10:30pm

スリランカ全土を、全部で4つのブロック(A〜D)に分けて、毎日、開始時刻をローテーションしながらパワーカットを行っています。例えば、コロンボ日本人学校がある場所を「Aブロック:緑色のブロック」としましょう。(上の表夜間の部参照)月曜日は5時30分開始。翌日の火曜日は6時30分。水曜日は8時と開始時刻がずれていきます。木曜日は9時から。そして、金曜日は、また、5時30分に戻るというわけです。つまり、毎日パワーカットの時間が変わっていきます。そこで、毎日、2時間〜2時間半(昼間の部を合わせると5時間)のパワーカットの最中は、通常どこも送電が止まった状態で電気は使えません。しかし、ホテルやレストラン、また、常に電気を使わなければならないお店やさんなどは、仕事になりませんね。それでは、どのようにして仕事をしているのでしょうか?

  
家庭用ジェネレーター

 簡単に言うと、自分で電気をつくっているのです。そこで、ホテルやレストランなどでは電気をつくるための機械「ジェネレーター(発電機)」を準備してあるのです。ジェネレーターは、自動車と同様、ガソリンや軽油を燃料として動き、電気を作り出します。大きなホテルやマンションなどでは、送電が止まると自動的にジェネレーターに切り替わるようになっているところもあり、毎日パワーカットがあるということが分からないところもあります。しかし、ジェネレーターの価格は、スリランカの物価からすると相当高いため、普通の家庭では購入するのが難しいのです。つまり、ほとんどの家庭では、パワーカットの際は送電が止まり、電気がつかないままであるということです。
 ただ、それでも小さなお店などは商売をしなければいけませんし、普通の家庭でも、夜真っ暗では困ってしまうところもあるでしょう。やはり、その時に一番重宝するのは何と言っても「ろうそく」です。あまり明るいとは言い難いろうそくの明かりの下、夜を過ごすことになります。(お誕生日の時のバースデーケーキのろうそくのように、わくわくした気持ちにはなりませんが・・・。)そこで、そのろうそくよりも優れ物なのが、「エマージェンシライト(緊急用電気)」です。エマージェンシーライトとは、簡単に言うと充電式のライトです。仕組みは、昼間、送電されている間に電源に差し込んだ状態で電気を充電し、送電がストップされたと同時に充電してあった電気でライトがつくというものです。これは、2000ルピー(3000円)ほどで購入できるので、小さなお店の軒先にもぶら下がっているのを見かけます。1度の充電で、5・6時間以上使用できるものもあります。しかし、使用すればするほど充電する力が弱まってきます。

   
エマージェンシーライト

 パワーカットが始まった当初(2001年6月頃)は、それがいつまで続くのか先が見えない状態であったり、ジェネレーターの値段が高かったりしたため、日本人の各家庭でもジェネレーターの購入を見合わせ、エマージェンシーライトで明かりを確保していたようでしたが、その後も長期的にパワーカットが継続するという見通しが立ってからは、家庭用のジェネレーターを購入するところも増えてきました。それでは、なぜスリランカでは、パワーカットを継続しているのでしょうか。
 日本では、夏場になると降雨量が減り、ダムの貯水量が減っていくことで、都市部では「水不足」になることがありますね。スリランカでは、おなじような理由(雨が少ないこと)によって「電気不足」になるのです。つまり、スリランカでは、水力発電に頼っている割合が大きいのです。(火力発電との割合は半々だそうです)雨が降らなければ、発電をするための水が確保できず、結果的に充分な電気を作ることができないというわけです。また、火力発電所では、大型のジェネレーターを使って発電をしているところもあるそうです。しかし、その発電量も不足しており、今後、外国からの援助を得て、そのジェネレーターもパワーアップするということです。

  
天井からつり下がっている扇風機とエアコン

 それでは、電気がない状態が長時間続くと、スリランカではどういう事になるのでしょうか?電気の明かりが無くても、ろうそくやエマージェンシーライトの明かりでどうにか生活をすることは出来ます。ただ、ここは常夏の国スリランカです。日本人学校のあるコロンボは、昼間の気温が30度を超える日も多いです。当然、夜も昼間の暑さが残り、かなり気温も高くなります。電気がなければ、暑さをしのぐためのエアコンや扇風機も使えません。そこで、自然の風を求めて窓を開けたくなるのは当然でしょう。しかし、窓を開けると、今度は蚊の大群に襲撃されます。そこで、蚊を我慢して自然の風を選ぶか、暑さを我慢して蚊から身を守るか・・・・・・(蚊を媒体にして、デング熱という風土病にかかることもあります。)いずれにしても、そのような寝苦しい夜を想像できますか?また、日本人の家庭には、冷蔵庫の他に大型冷凍庫(ディープフリーザー)を購入し、食料品を大量に冷凍させ保管させているところも少なくありません。電気が止まれば、当然、冷蔵庫や冷凍庫も動きを止めます。温度管理が必要な食料品にとっても、困ったことですね。

 
ディープフリーザー(大型冷凍庫)

 現在のパワーカット措置は、スリランカ総選挙(2001年11月)の前後など、一時休止した時期はありましたが、2001年6月から2002年2月現在まで、時間を変えながら継続しています。開始当初など少ない時には1時間から。多い時には、何と1日「8時間」という時期もありました。夕方6時頃から深夜0時にかけて4時間。さらに、深夜0時頃から朝方7時頃までで4時間。上の表にあるような、毎日時間差のローテーションで行われていました。さすがにその時は、 暑さのために寝不足になり、体調を崩す人もいたようです。 また、冷蔵庫・ディープフリーザーの中の食料品が腐ってしまうという事態になったところもあると聞いています。しかし、8時間で驚いてはいけません。数年前には、72時間パワーカットがあったそうです。つまり、3日間電気の無い状態が続いたということですね。想像しただけでもぞっとしませんか?(原因は電力不足ではなく、発電所が、テロ組織に襲撃されたためで、復旧まで3日かかったからだそうです。)その時は、さすがにホテルへ一時避難した日本人も多かったそうです。

 そんなパワーカットも、2002年6月以降には、終了する(
昼間の部も始まって本当に終わるのでしょうか?)と言われています。しかし、何が起こるか分からないのがスリランカです。とにかく1日も早く、電気の心配をすることがない快適な生活を取り戻すことが出来るよう願わずにはいられません。
 

 幸いにも、子どもたちが学校で勉強をしている時間帯(昼間)には、計画的なパワーカットはありません(とうとう始まってしまいました)が、不定期に、道路工事などの影響や室内配線の不都合などで、突然電気がつかなくなることがあります。現在(2002年2月)の学校は各部屋毎の窓の数が少なく、充分な光や自然の風を取り入れることが出来ない教室が多いので、そんな時には、太陽の下で青空教室です。お弁当も、外で食べることもあります。・・・残念ながら、2002年3月1日から昼間の部も始まり、学校の授業にも影響が出てきました。毎日、授業時間でいうと2校時分はパワーカットの状態が続きます。新校舎には、ジェネレーターが完備され、4月からはパワーカットの心配をする必要はありません。しかし、そのジェネレーターは、各教室のエアコンを使用できるほどの容量は持ち合わせていないため、ファン(扇風機)を使用することになります。